
2007.01.21
平成の大横綱
横綱・朝青龍が、千秋楽を待たずして20回目の優勝を決めた。
これまで20回以上の優勝を記録した力士は、
大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花の4人しかいない。
まだ26歳の若さ。優勝記録は、まだまだ伸びていくだろう。
歴代の横綱に比べ、「品格がない」と批評されることも多い。
粗野な振る舞い、歯に衣着せぬ発言が、その批判の的となってしまうのだろう。
朝青龍と並び称される、もうひとりの“平成の大横綱”貴乃花親方に、
引退直後、インタビューさせてもらったことがある。
――どうして、あなたはそこまで相撲に命をかけることができたのですか?
僕の問いに、彼は禅問答のような答えを返してきた。
「私は相撲に命をかけていたわけではありません。
私の命が、相撲のなかにあるのです」
千年以上の歴史を誇る、相撲という「伝統」「文化」。
その伝統・文化を次の世代に伝達する継承者として、
ただ誠実に努めてきただけ、と彼は言う。
その結果が、横綱という地位であり、22回という優勝だった、と。
「だから、私の命は相撲のなかにあるのです」
一方、おそらく朝青龍にとっての相撲とは、
「みずからの強さを証明する舞台」なのだろうと思う。
そのために人一倍の稽古を積み、みずからを鍛え上げる。
そこに「みずからの命が相撲のなかに」という発想はない。
貴乃花にとっては「文化」であり、朝青龍にしてみれば「格闘技」。
貴乃花自身は「伝承者」であり、朝青龍は、「アスリート」。
とらえ方が、まるで違うのだろうと思う。
どちらがいい、悪い、というのではない。
ただ、相撲を「文化」ととらえ、みずからを「継承者」として考える力士が、
土俵上で朝青龍と互角の戦いを見せてくれるようになれば、
相撲の魅力がぐっと深まるのになあ、とさみしく思うのだ。
2007.01.21 | 固定リンク
