
2006.07.31
FKクリロ
比較的さわやかな風が吹き抜ける日曜日。
僕は東関道を飛ばして、千葉県・市原市へと向かっていた。
ジェフ千葉の姉ヶ崎練習場で行われている、
ある少年サッカーチームの試合を応援するためだ。
黄色いジャージに青のパンツは、
地元クラブチーム・蘇我FC。
その対戦相手は上下とも紺の
ユニフォームに金髪の少年たち。
チーム名は、「FKクリロ」といった。
僕の友人・森田太郎が「FKクリロ」を
立ち上げたのは、もう6年も前になる。
ボスニアの民族紛争により「ボスニア連邦」と「セルビア人共和国」という
二つの準国家に分断されてしまったボスニア・ヘルツェゴビナ。
99年にボランティアで首都・サラエボを訪れていた彼は、
「サッカーで民族融和を図れないか」と考えた。
そこで誕生したのが、民族混成少年サッカーチーム「FKクリロ」だ。
最初は数人しかいなかった子どもたちも、森田らの熱心な活動により、
次第にその数を増やしていった。チーム運営は順調かに見えたが、
しかし、チームはどうしても超えられない壁が存在していた。
クリロ発足当初は、それぞれの地域で、別々に練習を行っていた。
彼らが楽しそうにボールを追いかける様子に、森田らは意を決して、
「境界線を越えた『向こう側』での練習に行ってみないかと声をかけた。
だが、子どもたちの反応は、予想以上に頑ななものだった。
「何でセルビア人共和国でやる必要があるんだよ」
「向こう側に行ったら、きっと殺されてしまうよ」
森田は、言葉を失った。
しばらくすると、ひとりのボスニャック人の少年が、
セルビア人地区での練習に参加すると言い出した。
はじめは緊張のあまり身を硬くしていたその少年も、
セルビア人の少年たちにあたたかく迎えられると、
途端に表情が一変、ともにボールを追いかけた。
それを契機に、一人、二人と「境界線」を突破する少年が増えていく。
いまでは、民族関係なく、チーム全員で練習できるまでになった。
今回、FKクリロが来日することになったのは、
「ピースキッズ・ワールドサッカーフェスティバル第一回大会」
(8月3~5日、広島)からの招待を受けたためだ。
もちろん、今回が初来日。
6年前にみずから誕生させたチームが、こうした形で日本にやってくる。
目の前で日本の子どもたちとサッカーに興じている。
そんなシーンに、森田君は何を思っていたのかなあ。
広島での大会、クリロがどんな成績で
大会を終えるのかはわからない。
けれど、かけがえのない「仲間」たちと
過ごした異国での夏の日々。
彼らにとって大切な思い出になるといいなあ。
試合後、両チームが肩を組んで記念撮影!
2006.07.31 | 固定リンク | コメント (6) | トラックバック (3)
コメント
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やはりその他国への想いは戦争のせいなんでしょうね。やっぱり寂しいです。
私はつい最近北京からの留学生と交流しました。オトさんのこの文章を読んで、改めて国際交流の大切さを感じました。
周りの雰囲気に押し流された偏見という者は何とも悲しいものですね。
投稿者: 清水ののこ (2006/08/02 21:56:06)
スポーツや子供たちに国境はないですよね。当たり前の事なのに今の世の中では難しい事ですよね。森田さんの活動はすばらしいですね。陰ながら応援します!!
投稿者: 美姫ヒカル子 (2006/08/01 20:35:08)
森田さんの活動 すばらしいですね!
難しい事は分からないけど、あの辺りの終わらない戦争は子供のうちに植え付けられてしまった民族間の偏見が大きな原因だと いつも感じます。
みんな同じ人間であること 地球上の生き物である事!・・・平和な日本を見ることで 平和がどんなにすばらしいかを肌で感じてくれたらいいですね。
そして、平和に毎日過ごし、生きていける環境がどんなに恵まれているかをFクリオの彼らから日本の子供たちは 学べるといいですね。
投稿者: ぴこ (2006/07/31 21:44:46)
この世から戦争が無くなる日が来るのかどうかは分からないけど、悲しみ・恨み・殺意のチェーンを絶ち切るには、子供たちを国単位で括らずに、一人と一人が交わって、一緒に夢中になれる何かに関わる事が本当に大切だと思う。
私の義理姉は中国の奥深い村の出身だ。(もちろん中国人)
その村では日本人は鬼だと思われていたが、兄貴が足しげく通い、家族と同じご飯を食べて行くうちに、いつの間にか家族として迎えられていたそうだ。(ちょっと話ずれてますね・・・)
FKクリロは素晴らしい活動をしているのですね。
大人が子供に対して、先入観でモノを教え込んではゼッタイにいけない。これは大罪だと思う。
こんな活動が世界に広がって欲しい!
投稿者: mariko (2006/07/31 21:21:13)
子供のうちから国際交流しておかないと偏見がインプットされてしまう。異文化交流は思考の拡大と深化!
投稿者: 私の付録 (2006/07/31 18:12:11)
ありきたりなコメントですが、大人の都合の戦争にただ巻き込まれてしまっただけの子供たちみんなに平等に、隣国の人たちは悪い人ばかりではないんだよ、と伝えてあげられればいいのに、と思いました。
投稿者: はな (2006/07/31 17:50:14)
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» ご紹介いただいています [SFP News から]
KRILO JAPAN TOURに関連する情報をいくつかのマスコミ、サイトで紹介いただいています。
ぜひ一度、ご覧ください。
7月29日のシンポジウムについての記事(インターネット新聞JANJAN)
http://www.janjan.jp/culture/0608/0607318805/1.php
7月30日の午前中に宿舎に遊びにきてくださった
松原FCの親御さんのブログ
http://biwa.blogtribe.org/day-20060730.html
7月30日の... 続きを読む
受信 2006/08/03 1:03:27

