
2005.09.06
複眼的な視点②
たくさんのトラックバック、ありがとうございます。やはり、この件に関しては、みなさん関心が高いようですね。
2冊の教科書を使って、複眼的な視点を養ったらどうか――という提案をしましたが、じつは、これって中学生に限った話ではないように思うんです。
たとえば、憲法改正問題。自衛隊や憲法第9条の扱いをめぐって、以前から護憲派と改憲派が激しい論議を続けています。もちろん、いろいろな考えがあるでしょうから、議論が活発に行われることは大いに結構だと思います。
でも、前から不思議に思ってることがあるんですよね。
5月3日、憲法記念日になると、護憲派も改憲派も、各地でシンポジウムや講演会を開催します。もちろん、そこに集う人々は、志を同じくした人たち。当たり前ですよね。
そして、護憲派のシンポジウムでは、当然のように護憲派の大学教授が基調講演を行う。それを聴衆はどのような思いで聞いているのでしょうか。
「うん、うん。やっぱり私たちの考えは間違っていない」
同じ考えを持った人の話を聞いても、それ以上の感想は出てこないように思うのです。
ここまで読んで、「そういうことか」とお気づきになった方もいるでしょう。そう、護憲派のシンポジウムにおいて、あえて改憲派の識者も壇上に上げてしまったらどうかと思うのです。
護憲派が言ったことに、改憲派がガブリと噛み付く。今度は改憲派の意見に、護憲派が異を唱える。従来のシンポジウムのような一体感は望めないでしょうが、そこでは目の覚めるような活発な議論が行われるはずです。
そこに参加した聴衆は、おそらく新たな視点に気づかされるのではないでしょうか。まさに「複眼的な視点」です。みずからの思想の正当性を再確認するためだけのシンポジウムに終わるよりも、よっぽど有意義なものになりそうな気がするのですが……。
たまたま憲法改正問題を取り上げましたが、これはどんな問題においても必要な姿勢であるはずです。でも、僕らはなかなか複眼的な視点を持つこと、相手の立場に思いをめぐらせることができずにいる。
こじつけのように思われるかもしれませんが、これは教育に起因する問題のように思うんです。学校での授業や試験を思い返してみてください。いつだって「答え」は、ひとつでした。
ところが、社会に出てみると、答えが複数あること、どうしても答えが見つからないことなんて山ほどある。でも、僕らは学校で「答えはひとつだ」と教えられてきたし、物事を一面的にとらえる訓練しかしていないから、突然そんなことを言われても困ってしまう。パニックを起こしてしまう。
だから。
それが必ずしも歴史教科書である必要はないけれど、学校教育のなかで「複眼的な視点」を養うような仕組みを考えていく必要性を感じるのです。教育に携わろうとする人間として、今後、このことは肝に銘じておこうと思います。
2005.09.06 | 固定リンク | トラックバック (6)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/17450/5796257
こちらのトラックバックのお約束をお読みの上、ご投稿お願い致します。
この記事へのトラックバック一覧です: 複眼的な視点②:
» 乙武さんの複眼的な視点 [ラッキーカードはどこいった? から]
乙武洋匡公式サイト: 複眼的な視点〓
http://sports.cocolog-nifty.com/ototake/2005/09/post_fcee.html
まえに扶桑社の教科書について書いた時に、 rotomonoさんがブログに書かれていた両方使ったほうが理解が深まるのでは?ということに感銘を受けたんですが、乙武氏のブログでも同じ趣旨のことが書かれていて、もしかしたらやればできるんじゃないの?なんて気持ちになりました(ほとんど根拠なしだ)。
んでもって、今回は憲法9条論議を..... 続きを読む
受信 2005/09/06 14:21:57
» こればっかりは、どうだろう!? [つまらん日記 から]
またまた、先日、乙武さんの公式サイトより。
前回は、「つくる会」の教科書について、複数の教科書を使ってみようという提案をしてました。
今度は、憲法改正問題に対して、同じような視点で書かれています。... 続きを読む
受信 2005/09/06 22:01:58
» 答えは外にある。 [智慧のわらしべ から]
アテネオリンピック直前に、ある水着メーカーが競技用水着の新作を発表した。その水着の特徴は、水泳中の水の抵抗を減らすためにつけられた、極小の突起の列であった。それは、サメの肌からヒントを得て作られたもので、この突起のおかげで、水泳中の水の抵抗を数パーセン...... 続きを読む
受信 2005/09/06 23:38:53
» ★☆選挙☆★ [☆イマエモン日記☆ から]
選挙 続きを読む
受信 2005/09/11 1:06:42
» 複眼的、複願的 [夢と現の狭間 から]
更新されていることは知っていたけれど、なんとなく機会を逃して読み損ねていた乙武さんのブログ(複眼的な視点2)。
2ということは、モチロン1(とは書いてはいなかったけれど)があるわけで。
最初のは教科書問題について。
掻い摘んで説明すると、
「つくる会」が新たな観点で書かれた教科書を作った。
観点が違うだけで歴史としては間違っていない。
教科書は学校が選べる。
のに、扶桑社の教科書を選んだのは1%にも満たなかった。
> これは、「どちらの歴史観が正しいのか」という議論と、「どの教科書が、より... 続きを読む
受信 2005/09/17 17:01:48
» diseases [seasonale pills 2508 から]
naproxen dog advil bontril infestation 続きを読む
受信 2006/08/25 18:22:02
