
2005.07.22
集団登校
早いもので、一学期も終了。子供たちは夏休みに突入しました。といっても、学校の補習授業や塾の夏期講習など、子供たちは多忙を極めるらしく、「待ちに待った」という夏休みでもないようですが……。
さて、はじめにこの仕事に就いたとき、僕はなるべく多くの学校を回り、ひとりでも多くの子供たちと触れ合いたいと思っていました。学校側もその思いに快く応じてくださり、一学期に訪れることができた小中学校は、42校あるうちの15校。感謝、感謝です。
子供たちの学校生活をつぶさに観察していくなかで、いくつか気になる点があったのですが、ここではそのひとつに触れてみたいと思います。
僕はだいたい朝8時過ぎには学校へ到着して、登校してくる子供たちに「おはよう」と声をかけるようにしています。余裕を持って登校してくる子もいれば、遅刻間際にあわてて駆け込んでくる子も。そんな光景が僕にとって日常のものとなりはじめた頃、ある違和感を覚えはじめたのです。
子供たちは誰に先導されるわけでもなく、思い思いの時間に、好きなルートを通って、学校へとやってきます。それは、どの学校に行っても同じ光景。ここまで読んで、僕と同じ違和感を覚えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。そう、僕は一度も「集団登校」にお目にかかったことがないのです。
はて、集団登校はもはや過去の遺物なのだろうかと新宿区の教育委員会に確認してみたところ、「正確な数は把握していないが、おそらく区内でやっている学校はごくわずかなのでは」とのこと。うーむ、やっぱり。
僕が小学生のときは、集団登校でした。9月に行われる校内ソフトボール大会も登校班による対抗戦だったため、夏休みでも[ラジオ体操→ソフトボール練習]と、一日の大半を班のメンバーと過ごしたものです。
集団登校は、おそらくは子供たちの安全面を考えてはじまったものだと思うのですが、僕には、安全面以外にも様々な利点が詰まっているように感じられます。
まず挙げられるのは、異学年交流。年齢の離れた子供同士が触れ合うなかで、おそらくは様々なトラブルが発生してくるでしょう。しかし、そうしたトラブルを子供たち同士が解決していくことで、きっと学校生活とはまた違った社会性を身につけていくことができるはずです。
また、下級生の面倒を見る上級生にとっても大きな意義があります。待ち合わせに来ない子を迎えにいったり、途中で転んだ一年生をおぶって保健室まで連れていったり。そうしたなかで、年長者としての自覚や責任感、年下の者に対する思いやりの心が育まれていくのではないでしょうか。
これまで大きな役割を果たしてきたと思われる集団登校。しかし、最近では新宿区だけでなく、どの地域でも減少傾向にあるといいます。その原因は、いったいどこにあるのでしょう。
ひとつには、交通事故への懸念。ニュース検索をすると、乗用車が集団登校の列に突っ込んだという事故がずらずらと出てきます。集団で行動していると、どうしても動きが鈍くなり、結果として事故の被害を拡大させてしまう恐れがあるのです。
また、少子化も原因のひとつ。子供の数が少なくなったことで、十分に班が組めない地域が出てきたといいます。班を適正規模にしようと思えば、かなり広域にわたる班となってしまう。それでは集団登校の意味も半減です。
しかし、本当はもっと大きな事情が隠されているとも言われています。それは、集団登校が保護者に与えるプレッシャー。待ち合わせ時間が決められている集団登校では、保護者にも「その時間までに子供を送り出さなければ」という心的圧迫が加えられます。
「自由登校だったら、こんなあわただしさを感じなくていいのに……」
そうした保護者の身勝手な思いが、集団登校の減少に拍車をかけたと指摘する声もあるようです。まあ、家庭にはそれぞれ事情もあるので、あまり非難することもできませんが……。
昨今、多発している児童の連れ去り事件や変質者による痴漢行為。その対策として、ふたたび集団登校に目が向けられているようです。
「集団登校」か「自由登校」か――。学校も頭を悩ませるところでしょうが、その判断が、保護者の“事情”に押し切られるものでなければ、と願っています。
2005.07.22 | 固定リンク | トラックバック (7)
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» 小学生の頃の思い出。 [よくばり屋さんのお買い物♪ から]
乙武クンのブログ 集団登校 を読んだ。あたしが子供の頃は集団登校が日常だった。田舎に住んでたし小学校まで2キロ近くあったので学校までの道中はちょっとした冒険だった。春には蝶。夏にはカブト虫。秋にはトンボ。冬にはたぬき。四季折々の草木、花々を眺めながらの登下校。... 続きを読む
受信 2005/07/22 16:13:05
» 臨時保護者会 [K太とT子の小学生日記 から]
そう言えば,もう夏休みに入っているところも多いようですね。
(まぁ通知表の話題はそのときまでおいとくとして…)
ウチの学校は今日まで通常どおりの授業で,25日が終業式です。
その夏休み直前の昨日,臨時の保護者会がありました。
内容は,この間「立て続けに起こった」交通事故についての報告でした。
ちょっと前に,登校中にちょっとした接触事故があったので,全校集会やクラスで「事故には気をつけよう!」と何回も言ってきたそうです。ところがつい先日,大きな交通事故が起こってしまいました。(幸いケガのみ)
... 続きを読む
受信 2005/07/22 19:53:04
» 集団登校ですと!? [つまらん日記 から]
乙武さんのブログより。
小中学校の頃って、集団登校なんかあったっけ?
続きを読む
受信 2005/07/25 21:33:41
» 懐しの集団登校 [my life**~step by step から]
乙武洋匡さんのブログ 集団登校 を読んで懐かしいな~と、
自分の頃を思い出しました。
私の母校には集団登校があり、小学校に入学した時からずっと集団登校しておりました。
私の実家はあまり住宅がないところだったので 4年生の時には私と友達二人が班の最年長...... 続きを読む
受信 2005/07/26 13:40:16
» 乙武くんへトラックバックで質問でっす [僕の歌は誰の歌? から]
はじめまして。 昭和51年生まれなんで タメですね。 そんなわけ五体不満足も単行 続きを読む
受信 2005/07/27 3:23:34
» 2005-07-28 [夢と現の狭間 から]
乙武さんの『集団登校』をよんで。
あー、私も福岡に来て最初のころは、集団登校だったなー。
校区の端っこの団地だったので、半強制的に集団登校。ウチから学校までにはほとんど歩道がなかったんですよ。
私の学年は4人、そして各学年に大体4,5人いるので、3つ4つ班を作って集団登校。
でもイロイロと問題があったなー。
一番の問題が班分け。
最年長(6年生)の子が必ず一人は班長として必要。やっぱり兄弟で同じ班になるようにするし、各班に満遍なくそれぞれの学年の子がくるようにするのがベストなんでしょうけど... 続きを読む
受信 2005/07/28 22:10:46
» 突然ですが、集団登校について。 [ぴくるすの枕草子 から]
ずいぶん前ですが(7月22日)、乙武さんがBlogで小学生の集団登校について書かれていたので、今日は私の意見を書こうと思います。 私自身はモチロン集団登校世代でした。先頭が6年生、そのあとに1年生から順に並び、5〜7人くらいの班で一番後ろにも、5年生か6年生がつ...... 続きを読む
受信 2005/08/02 23:48:42
